第15回東海道神奈川宿寄席から 2

二つ目 三遊亭好の助さんは「不動坊」。仕草が大きく、噛んだことさえ笑いに変えての好演でした。来春の真打ち昇進予定。彼は聞く人を惹きつける不思議な魅力がありました。

…さて「不動坊」のあらすじ…

品行方正で通るじゃが屋の吉兵衛のところへ、ある日、大家が縁談を持ち込んできた。相手は相長屋の講釈師・不動坊火焔の女房お滝で、最近亭主が旅回りの途中で急にあの世へ行ったので、女一人で生活が立ちいかないから、どなたかいい人があったら縁づきたいと、大家に相談を持ちかけてきた、という。ついては、不動坊の残した借金がかなりあるので、それを結納代わりに肩代わりしてくれるなら、という条件付き。

実は前々からお滝にぞっこんだった吉公、喜んで二つ返事で話しに飛びつき、さっそく、今夜祝言と決まった。さあ、うれしさで気もそぞろの吉公、あわてて鉄瓶を持ったまま湯屋に飛び込み、湯船の中でお滝との一人二役を演じて大騒ぎ。

「だけどね、長屋には独り者が大勢いますよ。鍛治屋の鉄つぁんなんぞはどうです?」
「まァ、いやですよ。あんな色が真っ黒けで、顔の裏表がはっきりしない」
「じゃあ、漉返し(すきがえし=紙すき)屋の徳さんは?」
「ちり紙に目鼻みたいな顔して」

たまたた湯に居た徳さんはカンカン。長屋に帰ると、さっそく真っ黒けと河馬を集め、飛んでもねえ野郎だから、今夜二人がいちゃついているところへ不動坊の幽霊を出し、脅かして明日の朝には夫婦別れをさしちまおうと、ぶっそうな相談がまとまった。この三人、そろって前からお滝に気があったから、焼き餅も半分。幽霊役には年寄りで万年前座の噺家を雇い、真夜中に四人連れで吉公の家にやってくる。屋根に登って、天井の引き窓から幽霊をつり下ろす算段だが、万さんが、人魂用のアルコールを餡コロ餠と間違えて買ってきたりの騒動の後、噺家が「四十九日も過ぎないのに、嫁入りとはうらめしい」と脅すと、吉公少しも動ぜず、「オレはてめえの借金を肩代わりしてやったんだ」と逆ねじを食わせたから、幽霊は二の句が継げずすごすご退散。結局、「手切れ金」に十円せしめただけで、計画はおジャン。怒った三人が屋根の上から揺さぶったので、幽霊は手足をバタバタ。

「おい、十円もらったのに、まだ浮かばれねえのか?」
「いえ、宙にぶら下がってます」

という噺…お後がよろしいようで。

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